2020-03-04

ポルシェ911はスーパーカーなのか?Type964の独特な魅力

「ポルシェ911はスーパーカーなのか?」という、スーパーカーブーム世代の間でたまに議論される問題があります。



スーパーカーブームというのは1976年辺りからで、その頃の911というとそれは930です。同時代のスーパーカーの代表はなんといってもランボルギーニ・カウンタックであり、ランボルギーニ・ミウラであり、フェラーリ512BBであったわけですが、これらぶっ飛んだスタイルと巨大な12気筒エンジンで猛烈なインパクトを与えた普通じゃないクルマ達に比べると、911はややクレバーに過ぎるんじゃないかという意見ですね。



911は現実的なスーパーカー?


ポルシェ964正面



例えばカウンタックでコンビニに乗り付ける姿はとっても違和感がありますし、フェラーリ512ベルリネッタボクサーでお盆の帰省なんてしたら中央道小仏トンネル手前辺りで炎上しそうな気がします。でも、911だったらそういう場面でも難なくこなしそうというか、特に違和感なく馴染んでしまいそうな気がするんですよね。



そう「スーパーカーと呼ぶにはおバカさが足りない」っていうんでしょうか。



ポルシェ964内装



それでもあの頃「サーキットの狼」で早瀬左近の930ターボが並み居るスーパーカーを片っ端からぶっちぎっていくのを見ていた私たちの世代にとって、やっぱり911は憧れのスーパーカーだったと思うんですよね。意外とコンパクトなドア付近から、ぐっとワイドに張り出したテールに至るグラマラスなラインに加えて、特にあの特徴的でキャッチーな顔立ち。カエルを思わせるちょっとかわいいフェイスは、あの頃のスーパーカーキッズの心を鷲掴みにしました。いや、少なくともぼくは鷲掴まれました。



911の顔をした最後の911?




RRレイアウトの911は、フロントにエンジンがない分ボンネットを思い切り低くできるわけですが、フロントタイヤとそのトラベルのクリアランスを確保するためにある程度両サイドを高くする必要があって、それであの顔が誕生したんですね。



さて、今回ご紹介させていただくのは同じ911の中でも930より一世代新しい964です。



Type964は、ほぼほぼ930の外見を引き継いでいますが、中身は全くの新型です。例えば足回り。930はトーションバーと呼ばれる捻りの反発を利用したバネを採用していましたが、964ではコイルスプリングになりました。パワーステアリングとABSも装備され、ぐっと現代的なクルマになっています。その一方で、964はRRにセミトレーリング式リヤサスペンションを組み合わせた最後のモデルでもあります。このことから964は、356から続く特有の特性、ポルシェらしいトラクション感覚を味わえる最後のポルシェである、とも言われています。



ポルシェ964エンジンルーム



964のデビューは1989年。最初に4WDのカレラ4が発売されましたが、その1年後に2WDのカレラ2が追加されました。車重は1,350kgとカレラ4より100kg軽く、またRR特有の走りの特性が、古くからのポルシェファンの間にも受け入れられました。



そしてもう一つカレラ2から新しく導入されたのが、ティプトロニックと呼ばれる4速ATミッションです。これは基本的にはトルコン式の4速ATなのですが、変速に電子制御が介入できるようになっていて、各種センサーとの組み合わせでより賢い変速ができるものです。さらに手動での変速にも対応していて、ATながらMTライクなドライビングが楽しめるようになっています。



エンジンは3.6リッターの空冷水平対向6気筒SOHCで、250馬力/6,100rpm、31.6kgm/4,800rpmのパワーを発生します。



964はこれからどんどん貴重になりそう


ポルシェ964後ろ



ところで964はかなり小さなクルマです。全長4,245mm、全幅1,660mm。排気量が大きいので当然3ナンバーですが、ボディサイズだけで見ると余裕で5ナンバー枠に入ります。全長では現行カローラよりも短く、全幅ではヴィッツよりも狭いのです。



このサイズのクルマに3.6リッターのエンジンが載っているのですから、それだけでもこれはもう楽しくないわけがありません。



水平対向6気筒エンジン、RRレイアウトという構成からくる独特のスポーティなハンドリングで「ポルシェ使い」と呼ばれるドライバーを育ててきた、伝統の911。そのオリジナルの姿を色濃く残した最後のモデルがおそらくこの964でしょう。現在、その価値はどんどん高まっていて、この先ますます貴重になると思われます。



[ライター/小嶋あきら]

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