2020-03-11

メルセデス・ベンツのオープンクーペ、SL320(R129)の魅力はその美しさだけではない

メルセデス・ベンツのSLクラスというと、スポーティな中にもどこかインテリジェンスを感じさせるカブリオレですね。これはややリーズナブルなSLKクラスの上位にあたるクラスで、ツーシーターの高級スポーツカーという位置づけです。もともとSLはシュポルト・ライヒト(軽量スポーツ)の頭文字とされていましたが、後に車体が大きく、より豪華になるにつれてこのLはラグジュアリーの意味を持つようになっていったと言われています。



SLシリーズの元祖・伝説の300SLとは


SLクラス SL320正面



SLのルーツ、初代SLは1954年に登場した300SL(W198)です。その初期型はクーペタイプで、ガルウイング・ドアを採用していました。元々はワークスチーム用のレーシングマシーンとして開発されたクルマでしたが、市場の要求で市販化されたものです。



ガルウイングタイプというとよくランボルギーニ・カウンタックなどが話題になりますが、同じ跳ね上げ式でもあの開き方は正式にはシザーズドアと呼ばれます。対して300SLのドアの開き方は、正面から見てカモメの羽(ガル・ウイング)のように見えます。それでそのまんま、そう名付けられたのです。つまりガルウイングドアの元祖は、この300SLだったのですね。



このようなドアが採用されたのには、車体の構成上サイドシルが高くなってしまって、通常のドアでは大変乗り降りが困難だったからという実用的な理由がありました。その当時の価格で6820ドルという大変高額なクルマでしたが、1400台生産されました。このモデルはいま「全てのメルセデス・ベンツのなかで最も収集すべきモデル」とされて、もはや普通の中古車として市場に出てくるようなものではなく、実態は定かではありませんが100万ドル以上という高額で取引されているといわれます。



300SLはその後、1957年にはクーペタイプの生産を終了、オープンタイプのロードスターモデルに移行していきました。



その後のSLシリーズの歴史・R129へ


SLクラス SL320後ろ



2代目のSL(W113)は1963年から1971年まで、3代目のSL(R107)は1971年から1989年までそれぞれ製造されました。共にスポーティなクーペモデルで、特に3代目はWRCにも参戦し、好成績をあげました。



そしてその後、1989年に4代目として登場したのが、今回ご紹介させていただくR129型です。18年ぶりのモデルチェンジで誕生したR129型は、電動式ソフトトップを備えたオープンタイプのクーペです。



SLクラス SL320シート



オープンボディの、特にスポーツカーは、激しい走りの結果万一ロールオーバーしてしまった時に乗員を守るため、ロールバーやロールフープを装着することが多いです。また、固定式のBピラーを備えていて天井部分だけが取り外し可能なタルガトップモデルになっていたりするものもあります。SLはソフトトップですが、シートバックにこういった仰々しい装備は見当たらず、実にすっきりとした美しいスタイルを保っています。実はこれは、ある程度の傾斜を検知すると自動的に立ち上がる収納式のロールオーバー・バーが装備されているからです。メルセデス・ベンツは安全対策にも抜かりがありません。



R129型は当初は5リッターV8エンジンを搭載した500SLから始まり、1992年に6リッターV12エンジンを搭載した600SLが、1993年にはAMGバージョンの600SL6.0AMGが追加されました。



SL320(R129)の魅力


SLクラス SL320エンジンルーム



そして1994年、3.2リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載したSL320がデビューしたのです。235PS/32.8kg.mのパワーと5速ATの組み合わせは、1790kgの決して軽くはない車体を充分スポーティに走らせることができました。また、電動式ソフトトップに加えて着脱式のハードトップも用意されていて、これを装着すると実に流麗なスタイルのクーペに生まれ変わります。



なお、日本での新車価格は当時970万円でした。



SL320は1998年のマイナーチェンジで、エンジンがV型6気筒SOHCに変更になってしまいました。スペック上はほとんど変わりませんが、やはりストレートシックスのシルキーなパワーフィールは素晴らしく、いまも高い人気を保っています。



スポーティさとラグジュアリーさ。オープンエアの開放感とハードトップの快適さを、どちらも犠牲にすることなく楽しめるSL320。その美しいスタイルは、街中でも海辺でも緑萌える郊外のワインディングでも、どんなシチュエーションでもひときわ映えるのではないでしょうか。



[ライター/小嶋あきら]

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